日本建築家協会(JIA)は建築家が集う公益社団法人です。
豊かな暮らし、価値ある環境、美しい国をデザインします。
JIAでは、すぐれた建築作品を顕彰し、建築文化のすばらしさや価値を社会に発信しています。
正会員(建築家)はじめ各種会員制度を設けています。
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総評
第26回となるJIA環境建築賞では、「デザインxエンジニアリング」というテーマのもと、新しい環境建築のあり方を求めて広く作品を募り、テーマに即した新たな審査委員(川島範久氏、山﨑健太郎氏、荻原廣高氏)を迎えて審査を行いました。昨年度の第25回からこのテーマを設定するようになりました。それは、賞の選考基準というよりも、賞を通した議論の基準となるものです。環境建築という、時代とともに意味や定義が更新され続けているものに対して、この建築賞の審査を通してただ優劣をつけるだけでなく、そのテーマに沿って議論をし、審査の過程で紡ぎ出されたメッセージをJIAとして社会に発信してくことが、この地球環境の切迫した時代における建築家の役割の再定義や、意義を共有することにつながっていくと考えたためです。本年度は、昨年度を上回る全27作品の応募が寄せられ、審査の過程で熱い議論が交わされました。
9月8日にJIA館にて審査委員全員が集まり、一次審査として書類による選考が行われました。ここで、厳正な審議が行われ、現地審査に行く8作品が選ばれ、10-11月にかけて現地審査を行いました。昨年度までは、現地審査が原則審査員2名のみの参加というルールを変え、できるだけ多くの審査委員が現地に赴き審査する方針としました。この現地審査の道中、作品の審査を通して審査委員の間で議論が交わされ、最終審査となる二次審査では、作品の説明だけでなく、「これからの環境建築がどういうスペックを目指し、人間がどのくらいコントロールをするべきだと思うのか」という問いへの回答を持ってきてほしいと、全参加者に投げかけることとしました。今回の審査にあたり、これからの環境建築を考えていく上で、箱の性能と人の関与、そのバランスこそが重要になってくると考えたためです。1月11日に、建築家会館にて、二次審査として各8作品のプレゼンテーションを行なっていただきました。各審査委員からの質疑や議論を尽くした上で、最終的には各審査委員による投票を行い、最優秀にあたるJIA環境大賞に「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」を、その他優秀賞3点、入選4点を選定しました。
その後、昨年度に引き続き、二次審査の最後にシンポジウムという形をとり、審査委員4人+受賞者で今年の審査から浮かび上がってきたことについて議論をしました。その中で見えてきた事が、今後の環境建築のあり方に対して非常に示唆的であったと思います。それは、建築はスペックのための箱ではなく、建築こそが環境をつくるものであり、その目的を実現するためのエンジニアリングであるべきである。サステナブルな場をつくるために、人を活かすためのエンジニアリングが大事なのではないか、といった内容でした。要約すると、スペック至上主義になりすぎると、人は受動的になりすぎてしまうので、逆に建築が人を制御しすぎないことで、より人がイキイキするようになるという考え方とも言えます。この審査を通して、サステナブルな場、持続可能な場とは、人+建築の両方によって達成すべきものであり、この両者がうまくバランスされている状態をつくることが真の環境建築になりうるのではないかという発見がありました。
このことは、最優秀となった「おにクル」でまさに実現されています。「おにクル」では、設計者が最低限の器としてこだわったのが、フラットスラブでした。梁型をなくし、輻射空調システムと一体化した力強いフラットスラブは、場を強く規定しすぎず、寛容に包み込み、人々の自由な活動を活性化していました。また、優秀賞となった「鵠沼の家」では、スキップフロアという手法により、はっきりした部屋ごとの境界を消し、それにより人が自発的に場所を変えながら暖を取ったり涼しい場所を探したりするという生活が生まれていました。どちらの建物も、建築側でコントロールしすぎないことによって、寛容に人々を受け入れているのが共通しています。一見、これらの建物で実現されているものは、これまでの躯体性能や環境システム、設備機器に依存した環境建築のイメージと異なるものかもしれません。しかしながら、この先、私たち建築家が目指すものは、お金をかけ、多くのCO2を排出しながら製造した特殊な機械を搭載し、人が何もしなくても自動で行われるハイスペックを極めた箱ではなく、最低限のスペックはクリアした上で、人の活動と建築の性能が一体となってイキイキした場を生み出していくことなのではないかというものでした。
環境の時代は共感の時代とも言えます。このような寛容さのシンボルをデザインすることが、この共感の時代のシンボルに、ひいてはこの難しい時代における新しい建築家の作家性にもなりうるのではないでしょうか。本年度の審査と議論を通して得た知見を、建築家及び社会へのメッセージとしてここにお伝えしておきたいと思います。
第26回JIA環境建築賞審査委員長 末光弘和
第26回 2025年度 JIA 環境建築賞
第26回となるJIA環境建築賞では、「デザインxエンジニアリング」というテーマのもと、新しい環境建築のあり方を求めて広く作品を募り、テーマに即した新たな審査委員(川島範久氏、山﨑健太郎氏、荻原廣高氏)を迎えて審査を行いました。昨年度の第25回からこのテーマを設定するようになりました。それは、賞の選考基準というよりも、賞を通した議論の基準となるものです。環境建築という、時代とともに意味や定義が更新され続けているものに対して、この建築賞の審査を通してただ優劣をつけるだけでなく、そのテーマに沿って議論をし、審査の過程で紡ぎ出されたメッセージをJIAとして社会に発信してくことが、この地球環境の切迫した時代における建築家の役割の再定義や、意義を共有することにつながっていくと考えたためです。本年度は、昨年度を上回る全27作品の応募が寄せられ、審査の過程で熱い議論が交わされました。
9月8日にJIA館にて審査委員全員が集まり、一次審査として書類による選考が行われました。ここで、厳正な審議が行われ、現地審査に行く8作品が選ばれ、10-11月にかけて現地審査を行いました。昨年度までは、現地審査が原則審査員2名のみの参加というルールを変え、できるだけ多くの審査委員が現地に赴き審査する方針としました。この現地審査の道中、作品の審査を通して審査委員の間で議論が交わされ、最終審査となる二次審査では、作品の説明だけでなく、「これからの環境建築がどういうスペックを目指し、人間がどのくらいコントロールをするべきだと思うのか」という問いへの回答を持ってきてほしいと、全参加者に投げかけることとしました。今回の審査にあたり、これからの環境建築を考えていく上で、箱の性能と人の関与、そのバランスこそが重要になってくると考えたためです。1月11日に、建築家会館にて、二次審査として各8作品のプレゼンテーションを行なっていただきました。各審査委員からの質疑や議論を尽くした上で、最終的には各審査委員による投票を行い、最優秀にあたるJIA環境大賞に「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」を、その他優秀賞3点、入選4点を選定しました。
その後、昨年度に引き続き、二次審査の最後にシンポジウムという形をとり、審査委員4人+受賞者で今年の審査から浮かび上がってきたことについて議論をしました。その中で見えてきた事が、今後の環境建築のあり方に対して非常に示唆的であったと思います。それは、建築はスペックのための箱ではなく、建築こそが環境をつくるものであり、その目的を実現するためのエンジニアリングであるべきである。サステナブルな場をつくるために、人を活かすためのエンジニアリングが大事なのではないか、といった内容でした。要約すると、スペック至上主義になりすぎると、人は受動的になりすぎてしまうので、逆に建築が人を制御しすぎないことで、より人がイキイキするようになるという考え方とも言えます。この審査を通して、サステナブルな場、持続可能な場とは、人+建築の両方によって達成すべきものであり、この両者がうまくバランスされている状態をつくることが真の環境建築になりうるのではないかという発見がありました。
このことは、最優秀となった「おにクル」でまさに実現されています。「おにクル」では、設計者が最低限の器としてこだわったのが、フラットスラブでした。梁型をなくし、輻射空調システムと一体化した力強いフラットスラブは、場を強く規定しすぎず、寛容に包み込み、人々の自由な活動を活性化していました。また、優秀賞となった「鵠沼の家」では、スキップフロアという手法により、はっきりした部屋ごとの境界を消し、それにより人が自発的に場所を変えながら暖を取ったり涼しい場所を探したりするという生活が生まれていました。どちらの建物も、建築側でコントロールしすぎないことによって、寛容に人々を受け入れているのが共通しています。一見、これらの建物で実現されているものは、これまでの躯体性能や環境システム、設備機器に依存した環境建築のイメージと異なるものかもしれません。しかしながら、この先、私たち建築家が目指すものは、お金をかけ、多くのCO2を排出しながら製造した特殊な機械を搭載し、人が何もしなくても自動で行われるハイスペックを極めた箱ではなく、最低限のスペックはクリアした上で、人の活動と建築の性能が一体となってイキイキした場を生み出していくことなのではないかというものでした。
環境の時代は共感の時代とも言えます。このような寛容さのシンボルをデザインすることが、この共感の時代のシンボルに、ひいてはこの難しい時代における新しい建築家の作家性にもなりうるのではないでしょうか。本年度の審査と議論を通して得た知見を、建築家及び社会へのメッセージとしてここにお伝えしておきたいと思います。
第26回JIA環境建築賞審査委員長 末光弘和