JIA 公益社団法人日本建築家協会

JIA会長ご挨拶

頼りになる建築家、頼りになるJIA

日本建築家協会(The Japan institute of Architects=JIA)は1987年に設立されましたが、協会の原点である造家学会は1886年につくられました。明治初期から近代日本の礎を築き社会の発展の為に力を注いできた諸先輩方の志を引き継いでおります。

しかしながら近年建築を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、建築家像も変わろうとしています。SDGsやカーボンニュートラルに加えてコロナ禍で人間関係や行動基準が様変わりしたことで社会が建築に求める価値基準が大きく変化してきました。その変化に迅速的確に対応することが求められていますが、困難な課題に直面した際に豊かな発想力でそれを乗り越えるように鍛えられているのが建築家です。このような時代だからこそ建築家が必要とされ、信頼され、頼りにされるべきであると考えます。

日本建築家協会は、社会から信頼され公益的な設計活動を行う建築家を支援することで、より望ましい社会環境の実現をめざす職能団体として、「頼りになる建築家、頼りになるJIA」をスローガンとして掲げたいと思います。

頼りになる建築家

近江商人の家訓に「客良し、自分良し、世間良し」という三方良しの思想があります。

客と自分の二者間の利益を追求するのではなく、公益を考えながら行動することが持続可能な商売の秘訣である、というSDGsに通じる思想です。建築家の業務は医者や弁護士と同じサービス業であり、顧客から依頼され契約を結び業務を行い、客の要望を実現し報酬を得ます。契約的には二者間の関係でしかないですが、建築家の場合は契約範囲を超えて「世間良し」についても考えながら業務を行っています。

街づくり、景観、美観、地域価値や文化の創造、保存再生、次世代に引き継ぐ環境、脱炭素など、興味の分野は人それぞれですが、顧客の要望を実現する過程で「世間良し」の部分を常に考えながら業務を行っているといえます。建築家は学校教育の過程で設計実習が必修科目となっています。設計要件をそのまま形態化するのでなく、社会性のあるコンセプトを発案し、解決案を明快に説明する訓練を積み重ね、建築と社会との関わり合いと提案力を身に付けます。この「世間良し」の視点を刷り込まれているのが建築家であり、公益性を考えながら業務を行っているのです。

また常日頃自己研鑽に励み、それぞれの分野の知識と経験を積み重ね、意識と感性を磨く努力も続けています。「世間良し」を実行する建築家は実は地域ですばらしい結果を残してきています。「世間良し」を実行する建築家は、気軽に相談でき、思いがけないアイデアを提供し、解決策を示します。地域社会に於いて頼りになる存在として認知され、信頼され、誇りをもって活動しています。

頼りになるJIA

JIA日本建築家協会は「頼りになる建築家」として地域社会の中で活動をする会員を支援する職能団体でありたいと考えております。

  • 1.会員が業務を行う上で必要とする情報が手軽に入手・交換できるネットワーク・アーカイブスを充実させます。
  • 2.会員が自己研鑽を行う上で役立つセミナー、レクチャー、アーカイブスを充実させます。
  • 3.全国会議や委員会活動は会員間の問題意識の共有の場、意見交換の場、交流の場として有益であり、引き続き支援します。
  • 4.ホームページの改善と一般市民に向けた広報活動も重要課題と考え、迅速に進めて参ります。中でも広報活動には力を注ぎたいと考えています。地域社会で素晴らしい功績を残している建築家をJIAがPRし、認知度を高め、信頼を得て業務展開に繋がるように支援をするべきであると考えています。ひいてはこれが建築家の業務環境の改善にも繋がります。

前述の通り社会が大きく変化し、建築家に対する期待度も大きく変わりつつあります。変化に敏感に適応できる「頼りになる建築家」、そして会員から信頼され、会員にとって魅力的な職能団体「頼りになるJIA」となるように尽力して参ります。

公益社団法人日本建築家協会
第13代会長佐藤尚巳