JIA 公益社団法人日本建築家協会

JIA会長ご挨拶

信頼される建築家、未来を築くJIA

このたび、公益社団法人日本建築家協会(JIA)の会長を拝命いたしました。歴代会長をはじめ、長年にわたり本協会の発展に尽力されてこられた諸先輩方、そして全国の会員の皆様に心より敬意を表するとともに、その責務の重さを深く受け止めております。

JIAは、建築家の職能の確立と社会的地位の向上を目指し、建築文化の発展と公益の実現に貢献してきました。創立以来、私たちは建築の質の向上はもとより、地域社会への貢献、建築教育の推進、災害支援活動、国際交流など、多様な活動を通じて建築家の社会的使命を果たしてきました。その歩みは、多くの先達の情熱と献身によって支えられてきたものであり、私たちはその歴史と理念を未来へと継承していかなければなりません。

今日、社会は大きな転換期を迎えています。人口減少と少子高齢化の進行、自然災害、地球環境問題への対応や地域コミュニティの変容、さらにはデジタル技術やAIの急速な進展など、私たちを取り巻く環境はかつてない速度で変化しています。

今後、建築家に求められる役割は一層多様化し、単に建築物を設計するだけでなく、社会課題の解決や地域の価値創造に主体的に関わることが期待されています。

こうした時代において、JIAが果たすべき役割は益々重要になっています。公益社団法人として私たちは、建築家の利益のみを追求する団体ではなく、建築を通じて社会全体の利益に貢献する公共的な組織でなければなりません。建築文化の継承と創造、安全で質の高い建築環境の実現、災害に強い地域づくり、環境負荷の低減、次世代人材の育成など、多様な社会課題に対して専門家集団として積極的に関わり、社会から信頼される存在であり続けることが求められています。

私はその決意を込めて、「信頼される建築家、未来を築くJIA」をスローガンとして掲げました。信頼される建築家とは、高い専門性と倫理観を備え、公共性をもって社会に貢献する存在であり、また人々の多様な価値観に真摯に向き合いながら、より良い環境と未来を構想できる専門家であると考えています。そして未来を築くとは、建築の力を通じて豊かな社会を実現し、次世代へと確かな希望をつないでいく事であり、JIAは未来に向けた新たな価値を創造する組織をめざして参ります。

また、持続可能な組織基盤の確立も重要な課題です。社会構造の変化に伴い、会員数や財政状況にも変化が生じる中で、限られた資源をいかに有効に活用し、公益活動の質を維持・向上させていくかが問われています。事業の選択と集中を進めるとともに、組織の在り方そのものを見直し、より機動力があり、柔軟で開かれた体制へと進化させていく必要があります。

さらに、JIAの未来を考える上で欠かすことのできないのが、次代を担う若い建築家の存在です。建築の世界に新たに加わる若い世代にとって、JIAが学びと成長の場であり、挑戦と交流の場であることが何より重要です。経験豊かな会員が培ってきた知見を次世代へと確かに継承しながら、新しい感性や発想を積極的に受け入れ、世代を超えた相互作用によって組織全体の力を高めます。

JIAは、全国の会員がそれぞれの地域で活動しながらも、共通の理念のもとにつながるネットワーク型の組織です。その最大の強みは、多様な経験と専門性を持つ建築家が集い、互いに刺激し合いながら社会に貢献できる点にあります。この力をさらに引き出し、社会に対してより大きな価値を提供できる組織へと発展させていきたいと考えています。

建築は人々の暮らしを支え、地域の未来を形づくる社会資本です。私たち建築家には、専門性と創造性に加え、高い倫理観と公共性が求められています。JIAは建築の社会的使命を再認識し、社会との対話と協働を通じて持続可能な未来の実現に貢献して参ります。

今こそ会員一人ひとりが力を合わせるときです。歴史と伝統を大切にしながらも変化を恐れず、新しい時代にふさわしいJIAをともに創り上げていきましょう。社会から信頼される建築家集団として、そして未来を築く組織として、皆様とともに歩んで参ります。ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

公益社団法人日本建築家協会
第14代会長松山将勝