建築主から、エネルギー消費に過度に依存せず、黒部の地形や環境と共生するような住環境モデルとして命名された「パッシブタウン」の第3期に当たる。本期はストック団地の再生に挑戦している。設計者は、バルコニーを切り落として徹底的な外断熱を行い、新たなバルコニーを構造的に自立、EVシャフトを内部に新設している。また上下階をメゾネットで貫通、外装へ富山杉板材を利用し、コミュニティセンターにおける未利用エネルギー活用、内部の斬新なインテリアなど、様々なアイデアが盛り込まれており、日本の団地改修に一石を投じている。
　団地再生、大胆かつ丹念なデザイン、環境性能の高い質を有することに加え、建築主の環境に対する高い意識レベルと今回の建築を取り巻く環境づくりも含めて、審査員全員の総意として特別賞を捧げたい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（高井 啓明）