■ 建築家資格制度 実務訓練制度 閉じる
 1.はじめに

この実務訓練プログラムは、国際的に通用する建築家資格制度の考え方を踏まえ構築されております。その基本となるものがUIA(国際建築連合)アコードであり、建築設計におけるプロフェッショナリズムの国際推奨基準が決められています。

UIAアコードによる建築家資格制度の要点
(1) 建築専門教育
建築専門教育は、全ての卒業生が、技術体系や要件、健康、安全と生態系のバランスに対する配慮を含む建築設計能力を持つこと、建築に関する文化的、知的、歴史的、社会的、経済的、環境的要素を理解していること、洗練された分析的かつ創造的な思考力によって、社会における建築家の役割と責任を完全に理解することを求めています。
建築家のための教育は、原則として認定を受けた大学の建築課程において、5年以上の期間、フルタイムによって行われる必要があります。
(2) 実務訓練
建築専門教育を補完するため、建築家を目指す者は実務訓練を通じ、正規の教育課程で学んだ知識の統合を図らなければなりません。
建築専門教育の卒業生は建築家としての実務を遂行する資格を取得するために、3年間程度以上の一定水準の実務訓練を終了することが要求されます。
(3) 資格審査・認定
建築家の知識と能力が社会的に認められるためには、必要な教育と実務訓練を終了し、総合的な建築の実務を遂行する為の最低限の知識と能力を修得したことを証明しなければなりません。
(4) 継続職能開発(CPD)
継続職能開発とは、建築家としての知識を維持、強化、あるいは増進させ、能力を継続させる、一生にわたる学習プロセスです。最近、既存の技量を維持し、より豊かな知識を修得し、新分野を開拓することに時間をさくことが強く求められます。これは、新しい技術や仕事の方法、及び、変化する新しい社会・環境条件に遅れずにいることが、ますます重要になっているからです。職能継続開発は職能団体によって会員資格の更新や継続の要件として求められます。
JIAの建築家資格制度はUIAアコードに準拠しますが、我が国の教育体系や法的状況の中で実施するにあたり下記の考え方に基づき行います。

JIAの登録建築家制度における実務訓練コースの位置付け

(1) 建築専門教育
現状では国際的に建築専門教育プログラムの認証を受けた大学は我が国には無い為、大学教育4年間に加え大学院教育2年間あるいは実務2年間を経た者、及び建築士法第14条に該当する一級建築士受験資格者を建築専門教育修了者とみなします。
(2) 実務訓練
建築専門教育修了者は実務訓練を受けることが出来ます。実務訓練参加者は3年間以上の期間の間に所定の単位の履修(総履修単位数700単位、そのうち475単位分については各項目別に最低履修単位を設定)を完了する必要があります。上記実務訓練とは別に建築専門教育の不十分さを補う為に、最低1年間の実務経験を義務づけます。但し、実務訓練期間が4年以上に亘った場合は、この実務経験を免除します。
(3) 資格審査・認定
資格審査・認定はJIAの中に設置された建築家認定評議会によりなされます。なお、国際的に通用する建築家資格制度が確立されるまでの移行措置として実務訓練の他に現時点の国家資格である一級建築士の取得を義務付けます。従って、実務訓練他が終了していても、一級建築士資格を取得してないと建築家認定評議会は資格審査の受理をしません。
資格が審査・認定された場合、資格認定書が交付されます。その後、申請者による登録申請により、登録建築家となることが出来ます。こうして登録建築家の称号が得られます。
(4) 継続職能開発(CPD)
登録建築家は、JIAが認定した継続職能開発(CPD)への参加が義務付けられます。内容は一定期間内に一定単位数の継続研修プログラムに参加することです(3年間で108単位)。この期間内に規定の単位数を満たさなかった場合、登録の更新は出来ません。

 


閉じる
公益社団法人 日本建築家協会  The Japan Institute of Architects (JIA)
Copyright (C)The Japan Institute of Architects. All rights reserved.