■ JIA建築家資格制度試行に向けて 閉じる

第2段階 社会的制度としての定着——JIAの組織的再整備

(1)社会制度の基本的な考え方
小倉善明

 第1段階で試行した結果を踏まえ、士会連合会、各士会と連携の上、制度全体をUIA基準と同等な建築家資格制度にしていきます。この段階では、試行の結果をもとに、大学で進む建築教育の改革と連携した制度にすることが急務となります。
両団体の資格制度と建築士法、建築基準法との関連性に検討が加えられ、特に建築士法の改正すべき点についての議論がなされなくてはなりません。職能分化とそれに伴う業務独占や1級建築士試験制度は議論されるべき問題です。

1)教育制度改革と実務訓練
実績認定コースの他、すでにJIAで実施している実務訓練制度と大学で進む建築教育制度改革(6年制教育)に基づく実務訓練コースを試行していきます。この段階では、既に多くの会員は資格を取得しており、新しい資格取得者はJIA会員であるなしに関わらず実務訓練コースにより資格を取得する人が多くなります。教育と連動する部分については、日本建築学会、6年制を採用する各大学と連携を取り、教育—実務訓練—資格認定のプロセスが試行できるようにします。このプロセスでは、1級建築士資格取得が条件ですが、大学卒業後3年で建築家資格認定を受けることができます。

2)社会的制度として定着
第2段階の最終段階では、建築教育・実務訓練・資格審査・CPDを包括した全体の制度がUIA基準と同等な制度であることが海外からも認証され、これを社会制度として定着させることになります。

3)JIA諸制度、諸規定の確認
この段階で(必要によっては試行段階で)、JIAは建築家資格制度を推進するにふさわしい職能団体となるために諸制度・諸規定の再確認をする必要があります。特に、目的、法人格、会員制度、倫理規定などは必要があれば改定します。

4)資格制度の一本化
JIA及び士会連合会は、最終的な目標であるひとつの資格制度について、それぞれで実践している内容に基づき意見交換を行い、ひとつの社会制度を作り上げる具体策をつくります。兼業・専業の問題(特にJIA側の問題として)、職能分化と業務独占及び1級建築士制度(特に試験制度)が議論の対象になります。
最終的には、JIAの建築家資格制度と士会連合会の設計専攻建築士資格制度を一本化することが合意されなければなりません。

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