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第1段階 試行——暫定的な建築家資格制度を創る

(3)建築家資格制度規則のポイントと規則(案)
大澤秀雄

 「建築家資格制度規則(案)」は、建築家資格制度を実施し、運営していくために必要な、認定組織、認定基準、手続方法、資格や制度の管理・運営等に関する規則をまとめたものです。名称には「試行」という言葉を入れてはいませんが、あくまでも試行の第1段階における規則と位置づけています。
認定のための組織や認定基準等の詳細に関しては、他のWGの成果を「細則」として別にまとめていくことになります。従って、この「規則」においては、それらの元になっている考え方や、基本的な事項についてのみ記述しています。

 この「規則」に定めている事柄の内、ポイントとなる点は以下の通りです。

1) 建築家資格制度を運営していくための組織として、JIAの中に「建築家認定評議会」を設置すること。
2) 「建築家認定評議会」により資格の認定を受け、且つ、同評議会に登録の手続をした者には、「登録建築家」の資格と称号が与えられること。
3) 資格の認定を受けるには、「実務訓練による認定」と「実績評価による認定」のふたつのコースがあること。
4) 登録された建築家に対しては、登録証が交付されること。
5) 登録の有効期間は、登録の日(登録証の発行日)から3カ年であること。
6) 登録の更新を希望する場合は、有効期間内に必要なCPD単位を取得した上で、登録の更新手続をしなければならないこと。
7) 更新された登録の有効期間は、3カ年であること。 
8) 認定、登録、更新に際しては、それぞれ所定の手数料がかかること。
などです。
この規則は、総会の決議を経て発効することになりますが、建築家資格制度が円滑に試行される様、各種の付則・細則の整備と併せ、今後さらに条文を精査していく必要があると考えています。


建築家資格制度規則(案)
第1章 総則
  第1条(総則)   
この規則は、(社)日本建築家協会が行う建築家資格制度の実施に必要な、認定組織、認定基準、登録手続、管理運営その他必要な事項について定める。
  第2条(目的)   
国際建築家連合(以下UIA)基準と同等以上の資質、能力、倫理性を有する者に「登録建築家」の資格を与え、建築物の質の向上並びに建築文化の創造・発展に寄与し、もって社会の利益に貢献することを目的とする。
  第3条(認定・登録機関)
登録建築家資格の認定及び登録のための機関として(社)日本建築家協会に「建築家登録認定機関」(以下認定機関)を置き、建築家登録認定機関内に本部及び支部「建築家認定評議会」(以下「認定評議会」)を置く。
  第4条(資格の認定及び登録)
登録建築家になろうとする者は、認定評議会の認定を受け、且つ、所定の手続により同評議会に登録されなければならない。
  第5条(登録建築家)
認定評議会に登録された建築家を「登録建築家」と称す。
  第6条(登録建築家の責務)
1. 登録建築家は、UIA基準に定める倫理綱領に従い、その業務を誠実に行い、優れた建築空間の創造に寄与しなければならない。
2. 登録建築家は、常に建築の設計及び監理の知識を修得し、登録建築家の社会的信頼の確立に努めなければならない。

第2章 建築家認定評議会
  第7条(組織)  
1. 認定評議会は、「本部認定評議会」及び各支部に設ける「支部認定評議会」によって構成される。
2. 本部認定評議会は、評議員7名により構成し、その過半数を建築関係者以外の者としなければならない。
3. 本部認定評議会の評議員は(社)日本建築家協会会長が指名し、評議員の互選により議長及び副議長各1名を選出する。
4. 支部認定評議会は、評議員5名により構成し、内2名を建築関係者以外の者としなければならない。
5. 支部認定評議会の評議員は本部評議会議長が指名し、評議員の互選により議長及び副議長各1名を選出する。
6. 本部及び支部認定評議会の評議員の任期は2年とし、2期以内に限り再任を妨げない。
7. 本部及び各支部認定評議会は、建築家資格制度の運営に必要な組織を適宜設けることが出来る。
8. 本部認定評議会は、建築家資格制度の運用上必要な細則を、適宜設けることが出来る。
  第8条(運営)   
1. 本部認定評議会は、建築家資格制度の運用に関連して、以下の業務を行う。
1)実務訓練基準、実績認定基準、審査・認定基準及び登録・更新基準の作成
2)登録建築家の認定と認定証交付
3)資格の登録及び管理
4)本部及び各支部間の情報伝達及び調整
5)建築家資格に関する調査・研究
6)建築家資格に関する広報活動
7)その他
2. 支部認定評議会は、建築家資格制度の運用に関連して、以下の業務を行う。
1)審査の実施
2)資格更新時の審査
3)その他
3. 建築家登録認定機関の運営のために事務局を置き、共通情報、個人情報の管理及び収支予算の管理を行う。

第3章 認定基準
  第9条(認定の方法)
認定評議会は、以下の基準を満たす者に対し登録建築家の資格を認定することができる。
1)実務訓練による認定 
別に定める基準に従い、実務訓練を終了し、且つ認定評議会が行う認定審査に合格した者。
2)実績評価による認定別に定める基準に従い、認定評議会が、その業務実績等に基づいて、
上記1)と同等以上の資質、能力、倫理性を有すると認めた者。
  第10条(実務訓練による認定)
実務訓練及び認定審査の実施要領、認定基準等に関する細則は別に定める。
  第11条(実績評価による認定)
実績評価による認定に必要な細則は別に定める。
  第12条(認定証の交付)
認定評議会は、建築家の資格を認定した者に対し、認定証を交付する。
  第13条(審査手数料)                
認定評議会による認定を受けるために必要な費用(審査手数料)は別に定める。

第4章 登録
  第14条(登録手続)
1.登録建築家の登録手続は、審査認定後3ヶ月以内に行わなければならない。
2.登録を行わない建築家は「登録建築家」の称号を使用することはできない。
  第15条(欠格事由)次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
1)後見開始または保佐開始の審判を受けた者。
2)破産者で復権を得ないもの。
3)建築士法による懲戒または建築に関する懲罰を受けた者で、処分の日から別に定める
年数を経過していない者。
  第16条(登録証の交付)
認定評議会は、登録建築家名簿に登録した者に対し登録証を交付しなければならない。
  第17条(登録料)
登録を受けようとする者は、登録申請の際に別に定める登録料を認定機関に納付しなければならない。
  第18条(登録の有効期間)
登録の有効期間は、登録の日から3年とする。
  第19条(登録建築家名簿記載事項の変更)
登録建築家は、登録建築家名簿の記載事項に変更があった場合には、速やかにその旨を認定機関に届けなければならない。
  第20条(再登録)
1.登録の有効期間が満了したことにより登録が抹消された者で、再登録を受けようとする者は、止むを得ない事情があると認定評議会が認めた場合に限り、再登録申請を行うことができる。
2.再登録を受けようとする者は、申請の際に再登録手数料を認定機関に納付しなければならない。
  第21条(登録証の再交付)
登録建築家は、次のいずれかに該当する場合は、登録証の再交付を申請することができる。その際、再交付申請手数料を認定機関に納付しなければならない。
1)登録証の記載事項に変更があった場合。
2)止むを得ない事情で登録証を失った場合。

第5章 更新
  第22条(登録の更新)
1.登録の更新を希望する者は、登録有効期間内に別に定める継続教育の必要単位数を取得した上で、登録の更新申請をしなければならない。
2.認定評議会は、所定の更新手続がなされた者に対し、登録建築家名簿の登録を更新すると共に、新たな登録証を交付しなければならない。
3. 更新された登録の有効期間は3年とする。
  第23条(更新手数料)
登録の更新に際しては、別に定める更新手数料を認定機関に納付しなければならない。
  第24条(継続教育)
継続教育に関する細則は、別に定める。

第6章 資格の管理
  第25条(登録建築家名簿)
1.登録建築家名簿の記載事項は、氏名及び登録番号の他、別に定める事項とする。
2.登録建築家名簿は、認定機関の事務局に備える。
  第26条(登録の抹消)
登録建築家が次の各号のいずれかに該当するときは、認定評議会は当該登録建築家の登録を抹消するものとする。
1)登録の有効期間が満了し、更新の申請を行わないとき。
2)登録建築家が死亡し、または失踪の宣告を受けたとき。
3)(社)日本建築家協会会員である登録建築家が、(社)日本建築家協会定款第13条
にもとづき同協会を除名されたとき。
4)登録建築家が、本規則第15条の何れかに該当する場合。
5)その他、認定評議会が登録建築家としての適格性に欠けると判断したとき。
  第27条(不服の申立て)
1.第26条の処分についての不服の申立ての措置、および資格の復活等の措置は別に定める。
2.その他、登録に関する不服の申立ての措置等は別に定める。

第7章 雑則
  第28条(本規則に定める以外の事項)
以下の事項は別に定める。
1.事務手続きの方法、並びに各種申込書、申請書、届出書等の書式。
2.審査手数料、登録料、更新手数料及びその他の手数料。
  第29条(本規則の制定・改廃)
本規則の制定および改廃は、(社)日本建築家協会の総会で決定する。
  第30条(細則の制定・改廃)
本規則に基づく細則の制定および改廃は、理事会の承認を得て本部認定評議会が行う。
  第31条(事務の所掌)
建築家資格制度に関する事務は、(社)日本建築家協会の認定機関事務局が行う。
  第32条(名称の使用禁止)
登録建築家でない者は、登録建築家の称号を用いてはならない。

付則
  1. この規則は、平成15年 月 日から実施する。
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