■ JIA建築家資格制度試行に向けて 閉じる

建築家資格制度確立に向けて——段階的目標設定
小倉善明

 JIA建築家資格制度の試行にあたって、建築家資格を最終的に国家資格にすることを目標にして3段階に分けて運動を展開していくことを考えました。この手法は、現在のJIAが建築家資格制度確立に向けてとっている、「自ら建築家の資格制度をつくり、社会の容認をとろうとする自主的な運動」に基づいて考えたものです。と同時に、日本建築士会連合会が提唱している社会的制度としての専攻建築士制度を創る思想と同じものです。そして両会の基本合意書にあるように、両会の試みは共に建築士法改正を視野に入れた資格制度確立の運動でもあります。したがって、JIAが資格制度の確立にむけて運動を展開する際に、将来、ひとつの建築家資格の国家制度が生まれることを目標に、自らの建築家資格制度を試行すると共に、日本建築士会連合会の提唱する専攻建築士制度の「設計専攻建築士」の制度の確立に協力することも「試行」に含められていると考えています。
段階は次の3段階に分けられます。
第1段階・試行—暫定的な資格制度を創る。
第2段階・社会的制度の定着—試行結果を社会に定着させる。
第3段階・国家制度(法律的制度)の実現—社会的制度を国家制度にする。
第1段階は2年程度を考え、JIAの規約の範囲内で、日本建築士会連合会との連携を保ちつつ、実績認定と実務訓練によるふたつのコースで、暫定的な資格認定を行います。資格認定機関は、JIA内部に作りますが、第三者性のあるものとします。この資格認定機関は、第2段階では、JIAのほかに第三者機関として、独立した組織にする必要があります。
第2段階は多くの資格取得者が生まれますから、これの資格について世の中にPRし、社会に定着する運動をします。この段階では、大学で新しい建築家教育を終了し、実務訓練を受けるコースを経て資格をとる人たちが増えて、建築教育・実務訓練・資格認定・CPDを包括した全体の制度がUIA基準と同等であることが海外からも評価されるでしょう。国内では、試験制度など建築士法改正についての議論が始まることと思います。認定機関は第三者機関になり、それにともないJIAの組織の再整備が必要になるでしょう。
第3段階では、日本建築士会連合会をはじめ他団体と共に建築士法改正に基づく国家資格運動をすすめます。そのためには、資格制度に対するUIAのアクレディテーション(認証)を受けること、第三者認定機関を公的な認定機関を作ることが必要になります。

閉じる
公益社団法人 日本建築家協会  The Japan Institute of Architects (JIA)
Copyright (C)The Japan Institute of Architects. All rights reserved.