2005年度JIA新人賞

審査員: 仙田満/椎名英三/妹島和世 

受賞作品 : 砥用町林業総合センター  


西沢大良


西沢大良(にしざわ たいら)

1964年 東京に生まれる
1987年 東京工業大学 卒業
1987-93年 入江経一建築設計事務所 勤務
1993年- 西沢大良建築設計事務所 主宰
現在 東京芸術大学、東京理科大学ほか非常勤講師

受賞
1997 , 99年  東京建築士会 住宅建築賞
     ’97 受賞 (立川のハウス)、 同賞 ’99 受賞 (大田のハウス)
2001年  東京建築士会 住宅建築賞 ’01  金賞 (諏訪のハウス)
2002年  勝山市健康福祉センター 公開設計プロポーザル 優秀賞
2003年  鬼石町多目的ホール"屋内広場" 公開設計競技 優秀賞
2005年    ARアワード 大賞 (砥用町林業総合センター)


砥用町林業総合センター  外観  撮影:上田 宏
  内観  撮影:上田 宏 砥用町林業総合センター

「砥用町林業総合センター」
西沢大良

 熊本アートポリス事業の70番目のプロジェクト。林業の町の小さな体育館、兼、集会所(延520㎡)。地元の木材を用いること、および町のシンボルとなる建物をつくること、を町長さんから直々に頼まれている。
  敷地は山の中の造成地の一画にあり、敷地の周囲には運動公園と駐車場が整備されている。建物はほぼ平屋で、屋内の集会室はミニバレーボールのコート2面分の広さがある。そのスペースをすっぽりと覆うように木の不定形な架構を組み、全体をガラスの直方体のなかに納めている。
  構造は木とスチールの混構造。外壁沿いに軽量鉄骨の柱(60mm×60mm)を1mピッチに並べ、屋内側の格子状の杉材(120mm×210mm)へ力を逃がしている。屋根においても軽量鉄骨を2mグリッドに並べ、その下層に格子状の杉材を45度振って並べて、両者を結んでトラスをつくり、22mスパンを架構している。トラスの上限材と下限材を45度振ることにより、天井高の必要な箇所のトラスせいを押さえ、その力をトラスせいの大きい他のトラスへ逃し、直下のスペースの必要にあわせた形状としている。屋外から見ると、山の中腹に大きなブッシュ(茂み)が人工的につくられたように見える。
  なおこの建物にはコンクリートを一切使用せず、木とスチールだけで建物をつくり、建材としての木の重要度を上げている。杭と基礎は鉄骨で、床下は砂利敷き、玄関の土間は鉄板敷き。

「建築家architects 3月号より」