福岡県飯塚市に建つ、浄土真宗本願寺派の納骨堂である。参拝者の頻度がランダムで季節性を有し、滞在時間が短いという特殊性を持つ納骨堂と近隣住民との関わり合いを現代の環境の観点から再構築した作品である
　天井高5m、16m四方の内寸で、40㎝厚のRC造の壁と直射日光を拡散する格子を配したトップライトにアルミ庇（換気用防水ギャラリ）を廻らした屋根、そして冷涼な外気を床下から室内へ供給する床下ピットで構成されている。屋根と床下が常時外気に開放され、躯体蓄熱と昼夜の温度差による自然換気によって室内環境を整えると共に、丸柱が林立する均質な自然光で満たされた室内は、現代的な荘厳さを醸し出しながら、ほぼエネルギーを使用しない納骨堂を実現している。高齢化社会に伴うお墓問題を背景に増え続ける、機械仕掛けの味気ない納骨堂建設に一石を投じる重要な建築である。