長崎県壱岐市で試みられた「Laughter Roof」は荒削りなディテールながら17項目のパッシブ要素と10項目のアクティブ要素を盛り込んだ、生活しながらカスタマイズする、若い建築家の自邸としての実験住宅的な現在進行形の環境建築といえる。
　基礎、壁、屋根がパッシブによる恩恵を最大限引出す、室内の環境制御装置として様々な工夫がなされている。広い敷地を生かした盛土による断熱、太陽光発電、ジブリのような木立の中の洞窟からの冷気の取得等、地なりのライフスタイルを継承しつつ、省エネと快適な居住環境を実現した住まいである。環境建築への理解が希薄な壱岐のような地方ゆえに、その意義や技術の周知の観点から「Laughter Roof」の存在は、将来性のある意義深い作品である。