この住宅は、土間空間による環境制御の考え方と同時に、設計者の住まいに対する意欲的な提案が高評価を得た。環境建築がともすると設備機械による省エネ性能に重きをおき、建築家の空間設計、計画論的手法が陰に隠れがちだが、この住宅は、モジュールを1.2mで空間を創ることによる自由度が豊かである。2.4m幅の土間空間は食堂にもなり、階段上などの小さな余剰空間でも作業スペースも可能となるなど、余裕のある空間づくりが基本になっている。土間空間という中間領域の利用を夏季、冬季それぞれの太陽高度や温湿度の変化に対応し使い分けると同時に、住まい手の個人的行動領域を固定化せず、自由な選択により、住宅を住まいこなす可能性が環境性能の優秀さと合わせて秀逸であると評価された。