地域の気候風土と敷地の条件を極めて巧みに配慮したエコハウスである。飯田市は「環境都市宣言」を行い、平成21年には環境モデル都市に選定されているが、JIAの会員が行政と市民の期待に応えた設計である。
リンゴ並木に沿った奥行きの浅い細長い敷地は、全居室が道路に面する程の条件であるが、落ち着きとアメニティの高い外観デザインは町並形成に寄与するモデルでもある。
エコハウスとしての特質はエアコンなどの機器に頼らずに寒暖差の激しい気候に対処する様々な工夫のあるパッシブ型であり、その象徴的なものが蓄熱性の高い広い土間と太陽光、太陽熱の利用、それに地元産木材の多用で、性能の高さが質の高い空間デザインにまとめられた傑作といえる。