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一般建築部門  優秀賞
東京大学柏キャンパス環境棟

設計者: (株) 日本設計(近宮 健一/平山 浩樹)
東京大学(大野 秀敏)
建築主:
国立大学法人 東京大学
施工者:
大成建設 千葉支店
講評: エンドユーザーでもある大学教員側が、自らの専門性を活かしたプロジェクトチームを形成し、具体的に環境負荷を低減する建築のあり方を提示し、実現した建築である。設計者もその期待によく応えている。設計者によって提案された技術は見慣れたもので新奇性に乏しいとの見方もあろうが、確実に成果を上げており、予算が限られている国立大学の校舎棟であることを勘案すると、むしろ現実的且つ有効な設計手法であるともいえる。
建築としては、庇、ルーバーが織りなす彫りの深い表情が印象的であり、これからの環境配慮の建築の一つの姿を示しているように思う。高価なオプションを数多く装備することが評価されるフェイズを超え、成熟した環境建築のあり方を考える時期に来ているように思う。
PFI事業においては設計・建設のみならず維持管理・運営までを含めた提案を行うことが求められる。本来環境負荷低減を考えていく上で不可欠な視点であるが、あまり重視されていないのが実情だ。このプロジェクトにおいては、発注サイドの高い意識によって、モデル的といってもよいPFI事業が遂行されている。今後の公共建築のあり方を考える上でも、示唆に富んだプロジェクトである。
  (小泉雅生)