JIA環境建築賞


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一般建築部門  優秀賞
瀬戸市立品野台小学校


 
所在地:
愛知県瀬戸市
設計者: 若林 亮   株式会社 日建設計
建築主:
瀬戸市
施工者:
熊谷組・信和建設工事共同企業体
講評: 教室とオープン・スペースとの間のしきりがない、いわゆるオープン形式の小学校である。オープン形式の小学校の場合、グループ学習や自発的な学習など様々な学習形態に対応すべく、仕切りのない拡がりある平面が用意されることとなるが、その分教室棟の奥行きが深くなり、良好な学習環境の確保と相矛盾することになりがちである。特に小・中学校においては、空調機械設備が設けられないことが多いため、教室内環境の確保は重要な課題となる。
この品野台小学校では平屋建てという利点を活かし、太陽光発電パネルを設置したのこぎり型の北側トップライトからの採光、換気によって、その問題に対して見事な解決を図っている。加えて、それぞれの教室に設けられた深い軒、ライトシェルフ、多目的スペースの校舎全体のシンボルとなる換気用の塔、既存の水路を利用したビオトープなど、環境に対する細やかな配慮がなされている。
ここでは小学校ということもあり、太陽光発電パネル以外特に大がかりな設備が設えられているわけではない。だがそれぞれの建築的な提案が、環境への配慮のみならず建築内外でのアクティビティに確実に結びついているところが高く評価される。ともすると重装備な建築をイメージしがちな環境建築に対して、一つの方向性を示している建築といえよう。
  (小泉 雅生)