JIA環境建築賞


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住 宅 部 門  優秀賞
高知・本山町の家


 
所在地:
高知県長岡郡
設計者: 小玉祐一郎  株式会社 エステック計画研究所
建築主:
野村直哉、野村里香
施工者:
有限会社 大同工務店
講評: 敷地は四国の険しい山々を縫うように流れる吉野川の河岸にあり、現地審査には大変遠い場所であった。施主は、現代の筏流しとでも言えるラフティングを業とする若い夫妻+子供で、自然と共に生きている家族である。ダイレクトパッシブソーラーをライフワークとしている小玉さんらしく、地域の自然環境の分析と建築計画での徹底したシミュレーションが行われ、設計へのフィードバックがされている。パッシブヒーティングとパッシブクーリングのバランスをとる各種の仕掛けが施されている。訪問した当日は真夏の暑い昼下がりであったが、自然通風と扇風機だけでも快適な一時を過ごすことが出来て、東京暮らしの私にはチョット蒸し暑い気もしたが、奥様はクーラーの必要はないと御満足でお気に入りであった。自然通風、緑の山々、川の音、ダイレクトゲインによる自然環境の恵みと共に、現代の都市住宅では欠かせないエネルギーの有効利用の提案も今後の課題であると感じた。よく環境派建築家のデザインは切れ味が悪いといわれるが、本山町の家は一皮剥けた小気味の良い住宅に仕上がっていた。
  (大野 二郎)