第1回 2000年度

 
総 評
審査委員会 委員長:池田 武邦 委員:林 昭男、小玉祐一郎、田辺 新一、高間 三郎

 JIA環境建築賞は、地球環境時代の建築文化の向上を目的とし、環境を保全しながら高い質をもった建築を顕彰し、環境に配慮した建築の啓蒙と普及のために設けられた。この趣旨に応えて38作品の応募があった。
(住宅10点、一般建築28点。JIA会員作品23点、非会員作品15点。)
審査は、審査員の間で次のような合意のもとで進められた。
JIA環境行動計画及びサステイナブルデザインガイドに示された指針にそっていることが要件であり、第一次審査は書類により、第二次審査は設計者立合いのもとに現地で行われた。そして、最終審査は現地審査を行った審査員からの報告をもとに意見の交換を行い、合議し最終決定を行った。
 審査の過程で「地球環境・建築憲章」が制定され(2000年6月1日)、この憲章に掲げられている5つの項目、「長寿命」「自然共生」「省エネルギー」「省資源・循環」「継承性」などへの配慮が改めて確認された。
 応募作品38点についてみると、環境への配慮は実にさまざまな観点からなされおり、それはアプローチと目標の多様さを示すものだった。個々の建築については、次のような視点から評価を行った。
(1)周辺環境へのインパクトが小さい。
(2)環境の保全・改善に貢献している。
(3)環境負荷の少ない建築である。
(4)人と自然との対話がなされている。
(5)環境意識の啓発、喚起を促している。
(6)生活文化の継承性。
などである。
 これらの観点からみて、今回の応募作品のなかに総合的評価において最優秀賞に値する作品を求めることは難しかった。僅かに「黒谷の家」が、今日の環境問題と深くかかわりのある暮らしや住い方を批判的に受け止めながら、100年以上をへた農家を現代の住宅として、見事に甦らせたことが高く評価された。
 第1回環境建築賞の審査において、サステイナブルな建築の多様さと評価の難しさを知るとともに、こうした建築の普及にはかなりの時間を必要とすることを改めて認識させられた。サステイナブルな建築への取り組みはまだ日が浅い。これからの真摯で継続的な取り組みのなかから、あらたな建築文化の生まれることを望みたい。

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住 宅 (作品詳細、講評は、写真をクリックしてください)


最優秀賞 黒谷の家
  一級建築士事務所大角雄三設計室 大角 雄三

優秀賞 世田谷区深沢環境共生住宅
  (株)市浦都市開発建築コンサルタンツ 小林 明
(株)岩村アトリエ 岩村 和夫


 
優秀賞 明野の家
  加藤義夫環境建築設計事務所 加藤 義夫


入選
山梨のCD小屋
  一級建築士事務所井口直巳建築設計事務所 井口 直巳


入選 竹中工務店八事家族寮・竹友寮
  (株)竹中工務店 永岡 久


入選 S邸
  (有)TAU設計工房 藤島 喬


一般建築 
(作品詳細は、写真をクリックしてください)

最優秀賞   該当作品 無し

優秀賞 コナミ那須研修所
  (株)日建設計 櫻井 潔、野原 文男

 
優秀賞 浪合フォーラム
  (株)中村勉総合計画事務所 中村 勉


優秀賞 大阪市中央体育館
  (株)日建設計 遠松 展弘


優秀賞 アクロス福岡
  (株)日本設計 村尾 成文、斉藤 繁喜、淺石 優、肥田 景明
(株)竹中工務店 村松 映一、 平田 哲
エミリオ アンバーツ アンド アソシエーツ エミリオ アンバーツ


優秀賞 緒方町役場庁舎
  (株)青木茂建築工房 青木 茂

入選 五洋建設那須研修所(ROUND)
  五洋建設(株) 山本 雅之

入選 長野市オリンピック記念アリーナ(エムウェーブ)
  (株)久米設計 岡本 賢
鹿島建設(株) 梅田 貞夫


入選 宇都宮市冒険活動センター(うつのみや平成記念子どものもり公園)
  (株)久米設計 岡本 賢、山本 健司、小原沢 俊之


入選 兵庫県立但馬ドーム
  仙田 満+環境デザイン・大建設計共同企業体
三菱重工業


入選 掛川市庁舎
  (株)日建設計 林 昌二、南石 周作、若林 亮、中島 勝美