■ お知らせ


■ 旧正田邸の保存要望書を財務大臣および品川区長に提出しました。

平成15年1月21日

財務大臣 塩川正十郎  様

社団法人 日本建築家協会(JIA)
会長 大宇根 弘司
関東甲信越支部 支部長 松原忠策
保存問題委員会委員長 小西敏正

緊急:旧正田邸解体を中止し、売却先(品川区)にその活用を委ねることの要望書

謹啓   時下 ますます ご清祥のことと お慶び申し上げます。
日頃は当協会の活動に格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、今般 報道されております 旧正田邸の解体についてですが、当協会が本件の情報を得て しかるべき要望書提出の検討に入ったところ、年初早々に解体工事が着手され、またこれに対し地元住民等による「建物取毀禁止仮処分命令申立書」が裁判所に提出されるに至りました。
当協会としましては、工事着手された状況とは言え、公示された第三者機関による近隣家屋の事前の工事影響調査は未だ開始されておらず、また上記申立に基づく裁判所の審尋等を控えており、実際の取壊しをされるまでには まだ時間的猶予があると存じ、ここに緊急の要望書を提出させていただく次第です。

 旧正田邸は、戦前期の和洋様式併存の邸宅として残存例の少ない貴重な遺構であり、その屋根の形状やハーフティンバー風の外壁に往時の西欧への憧憬が素朴に表わされているなど、日本の近代建築史を語るに格好の実物史料となっています。このためこの住宅は、日本建築学会が編纂した「日本近代建築総覧」にて、「特に重要なもの、あるいは注目すべきと考えられる作品」に選定されています。
 一方、この住宅はその特徴的外観によって、また近隣街区の丁字路のアイストップとして、この一帯(通称「池田山」)のランドマーク的存在となっており、既に永年にわたり地域の風景資産として住民に親しまれています。
 このように、旧正田邸が文化財保護法に基づく登録文化財としての価値を有することは、ほとんど自明であると言えます。
 さらには、現皇后の生家として昭和史のひとこまを飾ったこの住宅に 社会史的な価値を見出す人が非常に多いことも、事実です。

 そこで、かかる貴重な国有財産を品川区に売却されるに当たっては、単なる不動産物件として扱うのではなく、この建物の文化的・景観的価値に十分ご配慮頂き、いわゆる「更地原則」に付することを避け、既に先例があるように 購入者に土地付属建物の活用等の選択肢を残されますよう、解体を中止して売却条件を至急ご再考頂きたく、ここに切にお願い申し上げる次第です。

 街並みが 地域の文化・歴史の総体的表現であることに鑑みますと、景観を潤し かつ 地域の記憶を体現するこうした個々の建築は、地域の人々・地域の自治体によってこそ、その保存活用等についての判断・企図がなされるべきであります。
 わが国の文化・歴史が次世代に豊かな姿で継承されるために、重ねて 大臣のご英断を要望するものです。

敬白



平成15年1月21日

品川区長 高橋久二  様

社団法人 日本建築家協会(JIA)
会長 大宇根 弘司
関東甲信越支部 支部長 松原忠策
保存問題委員会委員長 小西敏正

旧正田邸購入活用の要望書

謹啓   時下 ますます ご清祥のことと お慶び申し上げます。
日頃は当協会の活動に格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、今般 報道されております 旧正田邸の解体についてですが、当協会が本件の情報を得て しかるべき要望書提出の検討に入ったところ、年初早々に解体工事が着手され、またこれに対し地元住民等による「建物取毀禁止仮処分命令申立書」が裁判所に提出されるに至りました。
 工事着手されたとは言え、第三者機関による近隣家屋の事前の工事影響調査は未完であり、また上記申立に基づく裁判所の審尋等を控えているため、実際の取壊しをされるまでに若干の時間的猶予があるとの理解のもと、当協会は財務省宛て、この住宅の文化的・景観的価値に鑑み、いわゆる処分上の「更地原則」に付することを避け、売却先(貴区)にこれの活用等の選択肢を残されるよう、解体中止を要望したところです。

 旧正田邸は、戦前期の和洋様式併存の邸宅として残存例の少ない貴重な遺構であり、その屋根の形状やハーフティンバー風の外壁に往時の西欧への憧憬が素朴に表わされているなど、日本の近代建築史を語るに格好の実物史料となっています。このためこの住宅は、日本建築学会が編纂した「日本近代建築総覧」にて、「特に重要なもの、あるいは注目すべきと考えられる作品」に選定されています。
 一方、この住宅はその特徴的外観によって、また近隣街区の丁字路のアイストップとして、この一帯(通称「池田山」)のランドマーク的存在となっており、既に永年にわたり地域の風景資産として住民に親しまれています。
 このように、旧正田邸が文化財保護法に基づく登録文化財としての価値を有することは、ほとんど自明であると言えます。
 さらには、現皇后の生家として昭和史のひとこまを飾ったこの住宅に 社会史的な価値を見出す人が非常に多いことも、事実です。

 そこで、かかる貴重な社会資産につき、品川区におかれまして土地と一体にて購入され、ぜひともその保存活用を図られたく、ここに切にお願い申し上げる次第です。

 街並みが 地域の文化・歴史の総体的表現であることに鑑みますと、景観を潤し かつ 地域の記憶を体現するこうした個々の建築は、その地域の方々・自治体によってこそ、次世代に豊かな姿で継承・活用されるべきと考えます。
 重ねて 区長のご高配・ご英断を要望いたします。

敬白

 


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