JIA Architects

JIA会員向け機関誌

2017年10月号

JIA MAGAZINE Vol.344

JIA Video Letter/USTREAM ライブ配信
〜家族が安心して住める家へ〜 JIAの建築家が相談にのります 建築相談室

JIAの領布資料

建築設計・監理業務委託契約書類
現場報告書/
共通仕様書・工事請負契約約款 など

CDP継続職能研修

・CPD単位の確認・自主研修申請
・CPDプロバイダーの方
・新規参加者登録
・認定プログラム一覧/操作マニュアル

JIAロゴマーク
NPO法人 建築家教育推進機構 一級建築士定期講習会
東京建築設計 厚生年金基金のご案内

JIAグループ保険制度

ケンバイ建築家賠償責任保険

所得補償保険 障害総合保険

書籍紹介

構造デザイン講義

構造デザイン講義

1995円 税込

東京大学に勤めて二年ほど経った頃、わたしを大学、それも土木学科(現在は社会基盤と名前を変えている)へと招き入れた篠原修教授から、内藤さんもそろそろまとまった講義をしてはどうか、と言われた。わたし自身は、大学に呼ばれた理由は、実践的な知識や経験を学生達に伝える役割、そして、建築分野の良いところを土木分野に移植する役割を担う、そういうところにあると考えていたから、いわゆるまとまった講義には関心がなかった。もともとアカデミックな育ちをしてきたわけではない。体系的に教えるということに関しては不得手だし、性にも合っていない。
それまでは、演習を見るのが中心で、単発的な講義もいくつかしてきたが、まとまった講義は持ったことがないから、不安がなかったと言えば嘘になる。いったい、黒板を背景にしたあのモノモノしい演壇から、若者に何を伝えればいいのか。講義というスタイルの一方通行の教育の仕方は、いかにも古くさく、時代遅れに思えた。なにより、うっかり思い付きでモノを言うことは出来ない。「迷った時は良心の声に従え」三〇年前、恩師の吉阪隆正から言われたこの一言が、わたしの人生を変えてしまったように、何気ない一言が若者の人生を変えるかも知れない。演習には独特の難しさがあるが、教壇に立つのもそれなりの難しさがある。
そうは言っても、興味が湧かないわけでもない。まっさらなキャンバスのような若者の心に、伝えておかねばならないこともある、それもわたししか伝えられないこともある、と考えれば、それはやらねばならないこと、でもある。
            (中 略)
幸いなことに、いざ始めてみると講義には多数の学生が詰め掛けてくれた。毎回満席で立ち見が出るほどだった。土木の学生、建築や都市工の学生、そして、これはルール違反だが、他大学のもぐりの学生。この講義を聞けば、おおまかなところは捉えられる、ということだったのだと思う。真剣な眼差しだった。彼らが居眠りをすることはなかった。講義の方も学生の熱気に押されて、中途半端なことは言えない状況に追い込まれていった。普段余り口にしないようにしている他人の仕事に対する好き嫌いも、言わざるを得なくなって吐露してしまった。だからといって、学生に押し付けたつもりはない。その都度、わたしはこう考えるが、君たちは自分の頭で考えなさい、と言い添えている。
この講義は、構造の専門家から見れば幼稚に見えるかも知れない。かなり調べたつもりだが、間違ったり勘違いしているところもあるかも知れない。また、デザイナーやアーティストからすれば、反発もあるかも知れない。デザインやアーティスティックな事柄は、もっと複雑であるのかも知れない。
しかし、まあ、堅いことは言わないでください。どんなに緻密な思考でも、どれほど多くの知識でも、想像力の翼がなければ無に等しいことは誰しも了解することだろう。講義では、わたしの捉え方をいろいろ説明した後で、自分の頭で考えてほしい、と言い続けた。つまり、わたしは若者達に「翼を持て」と言いたかったのだ。幼稚な考えでも、単純すぎる考えでも、翼があれば遠くに行ける。誰も踏み入れていない未知の土地を見つけることが出来るかも知れない。
ここには、わたしが建築を通して学んだことの多くが、構造にどのように向き合うかを通して語られている。もちろん不十分なものだが、役に立つ考え方もあるものと信じている。
(本著「はじめに」より抜粋

一覧へもどる

公益社団法人日本建築家協会 The Japan Institute of Architects (JIA)
〒150-0001  東京都渋谷区神宮前2-3-18JIA館 Tel:03-3408-7125  Fax:03-3408-7129  地図はこちら