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■ 「旧帝蚕倉庫事務所と周辺の歴史的建造物群」の保存活用に関する要望書を
   北仲通北区再開発協議会に提出しました。

2005年12月27日

北仲通北地区再開発協議会
会長 小倉 正彦 様

社団法人 日本建築家協会(JIA)
関東甲信越支部   支部長 松原忠策
同 保存問題委員会 委員長 川上恵一
同 神奈川地域会  代 表 室伏次郎

「旧帝蚕倉庫事務所と周辺の歴史的建造物群」の保存活用に関する要望書

拝啓 時下ますますご清祥の事とお喜び申し上げます。
 貴会におかれましては、日頃から当会の活動に格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、貴会が、旧帝蚕倉庫事務所を含む横浜市中区北仲通北地区において再開発プロジェクトを進められていることは、新聞報道等により周知されております。一方で、2006年10月までの期間限定で、旧帝蚕倉庫事務所ならびに旧帝蚕ビルディングをアーティストに提供するという、芸術活動の新拠点としての「北仲BRICK&北仲WHITE」をスタートされたことも大きく報道され評価されています。これは歴史的建造物等の文化芸術利用促進を目指している、横浜市の文化芸術都市創造事業の主旨を深く理解された上での試みであり、その先駆的事業に対し、私たちは、心から敬意を表するものです。
 都市再開発は単なるスクラップアンドビルドの時代ではもはやなくなり、新しい段階へと移りつつあると思われます。歴史的建造物などを活かして、単に経済的のみならず文化的なポテンシャルを高めることがその街の価値を高め、それが周辺にも波及し皆がこれを享受する、というのが新しい流れであり、貴会の試みは、まさにその先端を行くものであると確信いたします。
 ご存知のとおり、本再開発エリア内には、横浜ゆかりの建築家である遠藤於菟の設計による旧帝蚕倉庫事務所(BRICK)(大正15年竣工)と三棟の倉庫棟が健在です。遠藤於菟は、一連の横浜銀行集会所(明治38年)、三井物産横浜支店(明治44年)などの設計を通して、鉄筋コンクリート造(RC造)を追求し、旧横浜生糸検査所(現横浜合同庁舎、大正15年、昭和6年増築)・旧倉庫事務所(帝蚕倉庫本社ビル)・倉庫群にて、RC造の先駆者としての活動を締めくくりましたが、彼の偉業が後の建築家に与えた影響は非常に大きく、日本の近代建築史を理解する上で、無くてはならない存在です。
 そのような彼の作品を頂点として、再開発エリア内には、帝蚕ビルディング(WHITE)(昭和3年、竹中工務店設計)、エリア外にはなりますが、横浜第2合同庁舎(旧横浜生糸検査所、平成2年に一旦取り壊された後復元)と万国橋ビル(昭和3年)が、歴史的街並みの連続性を形成しています。また開発エリアの海側に位置する、旧日新運輸倉庫護岸と旧灯台寮護岸と波止場突堤や、万国橋(エリア外)が、土木遺産として港横浜の景観を守ってきました。遠藤の作品を頂点として、これら建築・土木的建造物のすべてが裾野としてひろがり、北仲通りから馬車道への賑わいを生むのだろうと考えます。
 再開発プロジェクトを進めるに際しては、様々な制約のなかで、事業性も含めたプランが練られているとは存じますが、何卒、英知を結集して、「北仲ホワイト・ブリック」の試みを発展させ、旧帝蚕倉庫事務所、倉庫ならびに旧帝蚕ビルディングと、その周辺に残る歴史的建造物群を活用しながら、他に例の無い、薫り高い再開発マスタープランをつくられることを願ってやみません。
 なお、社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、同保存問題委員会並びに同神奈川地域会はできる限りの協力をさせていただくことを申し添えます。

敬  具




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