JIAホットニュース


■ 新発田カトリック教会の前庭を含めた環境保存に関する要望書を提出しました。
       

平成17年6月2日

新発田市長
片山吉忠 様

社団法人 日本建築家協会(JIA)
関東甲信越支部 支部長 松原忠策
同 保存問題委員会委員長 川上恵一
同 新潟地域会代表 上山 寛

新発田カトリック教会の前庭を含めた環境保存に関する要望

拝啓 時下益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。
 新発田市におかれましては、『新発田市まちづくり総合計画』のなかで、「市民が「こころ」の財産として誇れる「文化の薫り豊かなまちづくり」をめざします。」と謳われていることに、深く敬意を表します。
さて、貴市におきまして事業決定に向けて準備を進めている都市計画道路「中央町緑町線」が、新発田市中央町1丁目に所在する、新発田カトリック教会の敷地を大きく削る形で予定されているように聞いております。
 新発田カトリック教会は、アントニン・レーモンドの設計、地元の新発田建設の施工により、1966年に竣工した教会です。レーモンドは、新発田市出身の財界人・大倉喜八郎が、旧帝国ホテルの設計を米国の建築家・フランク・ロイド・ライトに依頼した際、ライトの補佐として来日、それを期に日本で設計活動を開始し、日本のモダニズム建築の礎を築いた建築家です。そのレーモンドが新発田カトリック教会の設計を行うことになったのは、かねて親交のあった同教会のジョセフ・ノッオン神父の依頼によるもので、新発田市とはゆかりの深い成り立ちをもつ建築です。
 私共(社)日本建築家協会では、築後25年以上を経過し、今なお地域の文化や環境の向上に寄与し続けている優れた建築に「25年賞」を贈り、その意義を顕彰しておりますが、この新発田カトリック教会は、2004年の「第5回 25年賞」(15点選定)において、大賞に選定されました。それは、この建築が完成後40年を経てなおきれいな状況に維持されているのみならず、家具や燭台、張紙模様など密度の高い内部デザインや、外部環境と調和した静かな佇まいが一体となって守られ続けていることから、この建築が如何に地域の方々から愛され続けてきたのかが窺え、見るものに大きな感動を与えるからに他なりません。また、レーモンドが当時の市の指導に従い計画道路の法線を視野に入れ、道路完成後の姿を想像しながら設計したからとも思われます。
 「文化の薫り豊かなまちづくり」は、地域に根付く拠りどころとなる空間を起点として、いろいろな関係を保ちながら広げていく活動であると考えますが、新発田カトリック教会の静寂な環境は、前庭の空間によって守られていると言えます。私たちは計画道路の事業決定にあたり、線形の再検討も視野に入れ、前庭を含めた新発田カトリック教会の環境が、豊かなまちづくりへと広がっていく空間として保存されるよう要望いたします。
 なお、社団法人日本建築家協会・関東甲信越支部、同新潟地域会ならびに同保存問題委員会は上記実現のため、できる限りのご協力をさせていただくことを申し添えます。

敬具




Copyright (C)The Japan Institute of Architects. All rights reserved.