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■  三信ビルディング保存 に関する要望書を提出しました。
       

平成17年1月31日

三井不動産株式会社
代表取締役社長 岩沙 弘道 様

社団法人 日本建築家協会(JIA)
関東甲信越支部 支部長 松原忠策
保存問題委員会 委員長 小西敏正

三信ビルディング保存に関する要望書

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

貴社におかれましては、日ごろより建築文化の継承に深く理解をお示しになり、また、当会の活動にご支援を賜り、深く感謝致します。また、「日本橋室町計画」におかれましては、「三井本館」の保存・活用により街区の歴史的景観を継承しつつ、地域の活性化を図るべく事業を進めておられることに、深く敬意を表するものです。
  さて、このたび、貴社所有になる「三信ビルディング」(東京都千代田区有楽町所在)の解体を発表されたと聞き、驚きを禁じ得ません。申すまでもなく「三信ビルディング」は、1929年に横河工務所(担当:松井貴太郎)の設計、大林組の施工により建設された、昭和初期の日本を代表するオフィスビルで、独創性の高い自由な意匠、アーケードによる都市公共空間の創出、といった建築単体として優れた価値を有するのみでなく、日比谷公園や、同公園内の日比谷公会堂・市政資料館などとともに日比谷地区の都市景観を形成する、きわめて重要な意味をもつ歴史的建造物です。また、その魅力により広く人々に親しまれているという意味でも、東京の景観を語る際に欠かす事の出来ない「大切な建築」でもあります。
  グローバル化の進む社会において、生活の質や都市デザインの質の向上、サスティナビリティの改善等により都市の魅力を向上させることは、都市の国際的競争力の保持の面においても重要ですが、このような、多様な相を持った魅力ある都市を創る上で、欧米諸国の例を出すまでも無く、新しいものによっては替え難い、時間の積み重ねの中で培われた魅力をもつ歴史的建造物が果たす役割の大きさについては、論を俟たないと思われます。このような時代趨勢において、開発と保存の両立を都市計画行政、文化財保存行政の面からも支援すべく、歴史的建造物を活かすために様々な制度・方法が考案され、運用されている事は御承知のことと存じます。また、丸の内地区の再開発において、同じ横河工務所の設計による「日本工業倶楽部会館」が、「日本工業倶楽部会館歴史検討委員会」(座長:伊藤滋氏)の報告を元に、多様な手法を組み合わせて保存・再開発され、街区の歴史的景観の継承に大きく寄与している事例は記憶に新しいところとかと存じます。
  これらの点を踏まえ、私共としては、国際都市東京の持続的発展のためにも、また、多くの人々に愛される景観の継承という観点からも、「三信ビルディング」を歴史的建造物として保存し、末永く活用し続けて頂けますよう、お願い申し上げる次第です。
  なお、(社)日本建築家協会 関東甲信越支部 並びに 保存問題委員会は、「三信ビルディング」の保存・活用に関し可能な限りの協力をさせて頂く所存であることを申し添えます。

敬具



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