JIAホットニュース


2004年9月10日

日本建築家協会の会員の皆様へ
社団法人 日本建築家協会
会長  小倉 善明


 先月、東京都台東区が発注した新台東病院の基本設計業務の入札において、JIAの会員が所属する松田平田設計が3,600万円の予定価格に対し8,366円という低額で入札、契約をしたことが新聞紙上で報道されました。この事実に対して多くの会員から批判の声が寄せられています。
 昨年8月、同様なニュースが伝わり、当時の大宇根会長から全会員に向けて声明が発表されました。現在、入札によらない設計者選定の運動を精力的に展開している時だけに、私としても続けて起きたこの事態に対し、残念な思いで一杯です。
 私はこの事態を重く受け止めており、今後理事会にも諮り早急にこの件に関する必要な対応をいたしますが、この際、会長としての私の考え方については、なるべく早く会員の皆様にお知らせしたほうが良いと考えメッセージを出すことにいたしました。ご意見があれば至急本部事務局までお知らせください。お待ちしています。
 まず、倫理規定違反に関して会がどのように対応するべきかについて、職責委員会に調査を依頼いたしました。職責委員会の結論を待ち、理事会で結論を出しますので、ここではコメントを差し控えますが結論が出次第お知らせします。
 また、松田平田設計の中園社長に、この件について釈明を求めていましたが、さる9月3日、日本建築家協会会長宛の手紙を受け取りましたのでこれを公開いたします。(別紙1)
 いずれにせよ、私はダンピングは許せないと考えています。当会が入札によらない設計者選定運動を推進する一方で、会員が入札でダンピングをすることは、会として矛盾した行動をとっていることになり、会の信用を失うことは明白です。今回のような事態は二度と起きないよう、会として自主的・自律的な行動を起こしたいと考えます。

 JIAが会員に対して特定の入札に参加しないように強制すること、あるいはダンピングをした会員を独自の判断で処分することは、独占禁止法に抵触するとされています。しかし、私は会の中に、入札に反対すると共にダンピングをしないという自主規制運動を展開したく思います。それと共に、あらゆる場面で広範な入札反対運動を繰り広げ、発注者に対してQBSやプロポーザルなど入札によらない設計者選定法を採用するように働きかけることが必要です。
 今回の発注者である台東区に対しては、9月9日、常識外の低入札価格であるにもかかわらず契約をしたことに対する発注者責任について、及び今後の設計者選定に入札以外の選定方法を採用する可能性についての2点につき公開質問状を出し、併せてJIAの設計者選定についての活動経緯を説明しました。(別紙2)

 新しくJIAに入会しようとしている若い方々から、このような事態を引き起こす会員のいるJIAには入会しないという声があがっているとも聞いております。その方々にはJIAは今後自ら浄化に取り組む意思があることを説明し、公共建築の設計者選定で入札をなくすためにもぜひ入会するよう勧めてください。

 入札問題に対する最終的な解決は、単なる物品の購入と同様、設計者選定についても入札を原則とする、会計法や地方自治法に代えて、アメリカに於けるAE選定法のように設計料の多寡で設計者・技術者を選んではいけないことを明記する「設計者選定法(仮称)」を制定することです。この問題に対しては、本部で設計者選定法推進会議をつくりその実現に努力していますが、さらに運動を大きく展開していくために、土木、都市計画、ランドスケープの分野の職能団体とも定期的に話し合いを重ねています。また法律を実現するためには国会議員の賛同を得ることも必要であり、JIAの活動を理解する国会議員との連携を強めるなど、より具体的な運動の段階になってきました。
 この法律を早期に実現するためにも、会員の皆様が強く入札反対の姿勢を社会に示すことが必要です。そして、JIAが設計入札の廃止に向けて灯した火を今回のことで消さぬよう、またこのようなことが二度と起きないようにしたいと考えます。


ご意見送付先:JIA事務局   FAX: 03-3408-7129   E-mail:ktakano@jia.or.jp


Copyright (C)The Japan Institute of Architects. All rights reserved.