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JIA25年賞

第10回 日本建築家協会25年賞 (2010年度)

※ 写真・文章等の転載はご遠慮ください。

東大和市立中央図書館

設計者:
阪田誠造、山岡嘉彌
(株)坂倉建築研究所
建築主:
東大和市
施工者:
(株)淺沼組
竣工年:
1982年 12月
所在地:
東京都東大和市
講 評:  
人口8万人程度の“小さな市に建つ小さな図書館”として、竣工以来28年間の長きにわたり、市民の文化活動の拠点として大切に使われ続けてきた。郊外の自然を生かし建築の作り方そのものに省エネルギ−の考えを導入、西日をさけるための南北に貫通する大壁はバッシブ・ソ−ラ−としての機能を兼ね、外観デザインを特徴付ける。“絹ではなく麻のような”という質実を旨とする市政の考えは、堅実な計画および設計の随所に反映されている。役所と設計事務所との良好な関係から生まれ、育てられてきた作品である。

(審査委員:大川 三雄)

東大和市立中央図書館 竣工時

竣工時

東大和市立中央図書館 現在

現在

江東区立東陽図書館

設計者:
田部井泰輔、雨谷豊秋、塩原達郎
(株)梓設計
建築主:
江東区
施工者:
鹿島・竹中・不二共同企業体
竣工年:
1985年 3月
所在地:
東京都江東区
講 評:  
高層の建築に三方を囲われながら東陽町図書館は低層を保ち、空へと視線を誘って心安まる計画になっている。必須だったという地下にプランされた駐車場は自然換気、ほとんど自然採光、その上に設定された敷地内の通り抜けの公園には常に人の気配がある。通りに図書館内の読書スペースを見せる仕掛けも魅力的だ。初期プランの方法論が有効適切に作用していると言っていいだろう。加えて手入れ、管理が行き届いている。内部外部ともに時間に耐えるためにこの建築に注がれたであろう愛情を感じる。

(審査委員:中原 洋)

江東区立東陽図書館 竣工時

竣工時 

江東区立東陽図書館 現在

現在  撮影:澤田 聖司

聖コロンバン会本部

設計者:
長島 孝一
(株)エーユーアール建築都市研究
コンサルタント
建築主:
宗教法人聖コロンバン会
施工者:
(株)竹中工務店 東京本店
竣工年:
1979年2月
所在地:
東京都世田谷区
講 評:  
この建築は、単なる教会堂ではない。聖コロンバン会の宣教師や神父たちの打ち合わせや休暇のための住まいでもあって、修練の場と家庭的な場を兼ねたものだ。宗教建築の多くがそうであるように、異国から来た宣教師たちが安らげるよう、インティメイトな空間を基本とし、修道院特有の中庭とそれを取り囲む回廊、その時代性が一つとなったクロイスターがこの建築の大きなテーマである。細部にわたる設計者の思いがいまなお現在にも引き継がれ、30年という時間的経過を感じさせない。奥行きを感じさせる穏やかな建築である。

(審査委員:細田 雅春)

聖コロンバン会本部 竣工時

竣工時  撮影:村井修

聖コロンバン会本部 現在

現在 

成城・交差点の家

設計者:
早川 邦彦
(株)早川邦彦建築研究室
建築主:
大塚 敬一
施工者:
(株)大栄工務店
竣工年:
1983年9月
所在地:
東京都世田谷区
講 評:  
この建築は、作者の言う建築の表現への問いかけから始まっているといっても過言ではない。夫婦二人が住む住宅という極めてシンプルな課題に対し、外部に幾重にも連なる壁の奥に内部空間を配置した、全体に幾何学的な手法で構成された造形美がこの建築の特色である。騒音や外からの視線といった交差点特有のマイナス要因を連ねた壁によって排除しながら、光や風や緑の息吹をも内部に引き込もうとする明快な意図は、現在でも変わることがない。そして、その構成とスケールの心地よいバランスは、建築と都市との関係性を絶妙に表している。

(審査委員:細田雅春)

成城・交差点の家 竣工時

竣工時 

成城・交差点の家 現在

現在 

名護市庁舎

設計者:
象設計集団+アトリエ・モビル
建築主:
名護市
施工者:
仲本工業・阿波根組・屋部土建 共同企業体
竣工年:
1981年6月
所在地:
沖縄県名護市
講 評:  
1990年代に訪れた時と、今回の審査で訪れた時の印象はかなり違っていた。沖縄の文化の結晶のような建築の形態が陳列されていた当時の印象は、今しっかり風土に根付き、あたかも天から降ってきた龍が沖縄の大地から生えてきた植物と絡みつき、一体化した有機体の様相を呈している。現在使われていない自然換気風洞はこの龍が目覚める復活の日を待っているかの様である。海岸沿いの環境の厳しさに外装は多少手を加える必要があるものの、時を経て有機的でルーズな輪郭になったこの建築は地域のシンボルとしても機能的にもしたたかに活きている。

(審査委員:市川清貴)

名護市庁舎 竣工時

竣工時  撮影:北田英治

名護市庁舎 現在

現在  撮影:相原功

中京郵便局(現 郵便事業(株)中京支店)

設計者:
旧郵政大臣官房建築部
(現 日本郵政一級建築士事務所)
建築主:
旧郵政大臣官房建築部
施工者:
(株)大林組
竣工年:
1978年3月
所在地:
京都府京都市
講 評:  
この中京郵便局は明治時代に建てられた郵便局を1978年に保存改修したもので、その改築が25年賞の審査対象となっている。
ほぼ全面的に更新されて一皮だけオリジナルを残したこの外壁保存手法を、歴史的建造物保存の観点からは不十分との見方もできるが、現実の郵政事業の中でなんとか実現させたことを評価することもできる。
この建物は明治時代の西欧化・近代化のシンボルであった郵便局の面影を三条通りに残すことに成功し、郵便局としてそしてまた街の重要な観光資源としても役立っている今日の姿を見れば25年賞に相応しいものと考えられる。

(審査委員:芦原太郎)

中京郵便局(現 郵便事業(株)中京支店)竣工時

竣工時 

中京郵便局(現 郵便事業(株)中京支店)現在

現在 

三井物産本店ビル

設計者:
林昌二、小倉善明、原光胤
(株)日建設計
建築主:
三井物産 (株)
施工者:
三井物産大手町ビル建設共同企業体
竣工年:
1976年10月
所在地:
東京都千代田区
講 評:  
1970年代の近代オフィスビルの最先端として完成したこの建物は、37年間常に「今」を体現している。外装のアルミパネルは多少大気に汚染され気味ではあるが、金属の持つ強かさは衰えず、皇居周辺で唯一の表情をかもし出している。毎年カルガモが訪れる前庭の池の周りの樹木はランドスケープの中で根付いている。1階のロビー・ホールは時代の変遷でカフェがコンビニに変身しているが、オフィス部分は完成当時の形の保守を重ね、また役員室階も美術館のような当時の形を維持している。機能のみではない骨の太い「正統な建築」であることを確認した。

(審査委員:市川清貴)

三井物産本店ビル竣工時

竣工時  撮影:BW門馬金昭

三井物産本店ビル現在

現在  撮影:篠沢裕

大龍堂書店

設計者:
吉村 篤一
(株)建築環境研究所
建築主:
山岸 豊
施工者:
(株)熊倉工務店
竣工年:
1982年3月
所在地:
京都府京都市
講 評:  
京の町家のリノベーションで、その雰囲気も確かに感じられるけれど、実は新たな設計デザインによって成立している建築だ。正面に組まれた門型のH型鋼がエントランスの枠組みとなり、朱色のやや広めの格子状の扉が正面のイメージを支配、明らかに古い町家にはなかった建築構成要素によってこの建築は成立している。内部は墨一色。並べられた書籍と蠢く人の印象が鮮やかになる。築数十年の町家をベースにしていながら、そこに加えられたデザイン処理はリノベーション以上の創作の結果だ。数十年を超えて生き延びるデザインの意味をあらためて考えさせられる。

(審査委員:中原 洋)

大龍堂書店 竣工時

竣工時 

大龍堂書店 現在

現在 

岩崎美術館

設計者:
槇 文彦
(株)槇総合計画事務所
建築主:
財団法人岩崎美術館
施工者:
(株)間組
竣工年:
1979年3月
所在地:
鹿児島県指宿市
講 評:  
海を臨む芝生の大地に建つこの美術館は、コンクリート打ち放しや白大理石の汚れにかかわらず、なお凛として、建築の骨格の正しさを今も確実に伝えている。絶妙のプロポーションと繊細なデイテール、厳選された材料の組み合わせ、そしてなにより清廉な空間の連続はその後の建築に多大な影響をもたらした。地中海のヴィラをイメージしたと空間に一瞬強い光が差し込むと、年月を超えて空間が共鳴する。増築棟への連絡通路も地下に埋め、異なる趣の表情を対比させるなど絶妙で、建築主の深い理解を得てこの土地の価値を今に唄い続けている。

(審査委員:櫻井 潔)

岩崎美術館 竣工時

竣工時 

岩崎美術館 現在

現在 

箱根プリンスホテル
(現 ザ・プリンス箱根)

設計者:
村野 藤吾
村野・森建築事務所
建築主:
(株)プリンスホテル
施工者:
清水建設(株)
竣工年:
1978年6月
所在地:
神奈川県足柄下郡
講 評:  
箱根プリンスと言えば、すぐに想起させられる見事な造形力の連結棟は数十年を経てなお、いささかの変化もない。内外部ともに、その見事さは時間を凍結しているかのようでもある。改装、修理は細心の配慮で行われておりエントランス棟を含めて床や壁の吟味された素材は時間の変化に耐えている。家具類もまた布の張り替えになどよって、原型保存の努力が払われている。ホテルという時間経過の早い、しかも使用頻度の図抜けて高い建築でありながら、箱根プリンスは村野藤吾建築の絶対的な空間を、今もって建築時の香気を保ちつづけている。

(審査委員:中原 洋)

箱根プリンスホテル(現 ザ・プリンス箱根)竣工時

竣工時  写真提供・(株)プリンスホテル

箱根プリンスホテル(現 ザ・プリンス箱根)現在

現在  写真提供・(株)プリンスホテル

八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)

設計者:
村野 藤吾
村野・森建築事務所
建築主:
長野県原村
施工者:
諏訪土木建設(株)
(現 スワテック建設(株))
竣工年:
1980年4月
所在地:
長野県諏訪郡
講 評:  
八ケ岳連峰南麓の唐松林の中に、既存樹を残す形でドーム形状のヴォリウムを連続させたこの小さな美術館は、今なお自由に建築と自然、彫刻の関係を語り続けている。内外の材料は意外なほど質素ではあるものの、豊かな内部空間を特徴付けるレースはしっかりとメンテナンスされている。その柔らかい空間の文節と連続は建築の可能性を今なお強く感じさせてくれる。アプローチには周辺の子供達の卒業記念彫刻が並べられており、地域にも根付いた存在となっている。少し荒れ始めたエントランス周りのしつらいがもう一度光を放つことを心からすものである。

(審査委員:櫻井 潔)

八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)竣工時

竣工時  写真提供・原村

八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)現在

現在  写真提供・原村

長野市立博物館

設計者:
宮本 忠長
(株)宮本忠長建築設計事務所 
建築主:
長野市
施工者:
前田守谷建設共同企業体
竣工年:
1981年9月
所在地:
長野県長野市
講 評:  
“100年持つ建築を造る”という合言葉のもと、設計者と施工者、そして行政とが一体となって取り組んだ建築作品は、30年を経過して、すっかり地域に根付いた感がある。編年変化で茶褐色に変色し、周囲の山並みにも溶け込んだコ−ルテン鋼の大屋根は、厳しい気候風土から打ち放しの外壁を保護し、職人の技と芸が結集された様々な仕上げやディテ−ルの素晴らしさを守り伝えている。この骨太で豊かな空間が、常設・企画ともに新しい時代に相応しい展示の場として十分に活用されていくことに期待したい。

(審査委員:大川 三雄)

長野市立博物館 竣工時

竣工時  撮影:新建築社

長野市立博物館 現在

現在 

 

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