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  • 投稿:2020年11月22日
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Catalyst(カタリスト)第3回 困っている人は見過ごせない

正会員と協力会員をつなぐCatalyst。協力会員委員会の延原です。
第3回は、JIA登録建築家 笠井隆司(協力会委員会 副委員長)さんが、尼崎に本社がある協力会員企業の株式会社豊和さんを訪ね、2020年7月13日に新社長に就任されました安藤善朗社長にお話を伺いました。
笠井さんが、ある悲惨な事故に対する豊和さんの姿勢に共感してこの対談が生まれました。 それでは、最後までご覧ください。

「人を安全に 人にやさしく」創業者が抱いた熱い想いを継承し社会に貢献

笠井―新社長就任おめでとうございます。我々建築家は、排煙オペレーター「マドコンの豊和」で良く存じ上げています。今年2月の建設通信新聞の記事に、無線排煙オペレーターを開発された経緯が掲載されていました。
とても感動的な記事でした。是非新社長から開発にいたるまでの経緯、苦労話や御社の熱い想いと挑戦などをお聞かせ下さい。

左:笠井さん 右:株式会社豊和 安藤社長

痛ましい事故や災害による被害を何とか食い止めることは出来ないか

安藤社長―京都アニメーションの悲惨な事故で、煙に巻かれて多くの若い皆さんが亡くなりました。
排煙オペレーターが入っていれば、また仮に排煙オペレーターが入っていても、避難することに精一杯で、誰もオペレーターの押しボタンを押して起動させないのでは?と考えると、煙のプロとして悔しくてなりません。
こんな悲惨な事故は二度と起こしてはならない、この創業者の熱い想いから、煙感知器から無線で連動する排煙オペレーターを開発しました。実用に向けて許認可の申請中です。

笠井―我々建築家は、建物を耐火建築とし、内装も不燃化を図り、火種もガスから電気とし、建物自体を禁煙とする防火対策を講じ、さらに建築基準法を満足すれば万全と考えていましたが、我々の考えを根底からひっくり返された思いです。
排煙のプロとして、万一の犯罪や災害など何が有っても、人命尊重を優先する創業者の熱い想いが伝わってきます。

無配線式煙感知器連動オペレーター

安藤社長―ところで、笠井さんは毎年火災で煙に巻かれて死亡した人の数を御存じですか? 日本では、1日あたり約103件の火災が発生し、火災によって年間約1,447人もの尊い命が失われています。(令和元年総務省消防庁のデータによる)火災における死亡原因の大半は、煙による一酸化炭素中毒です。
「煙による被害を最小限にしたい…」その想いから、火災発生時に煙を外に逃がす高窓を簡単操作で開閉するため自然排煙装置「マドコン」を、また閉鎖障害が極めて起きにくい防火扉として引戸式遮煙防火設備・自動閉鎖装置「ドアコン」を開発しました。

笠井―勉強不足で驚きました。年間1,447人というと、概ね1日4人位の方が亡くなられていたのですか。
我々はどうしても、防火区画、排煙区画で法規上別々に満足させていく手法になりがちですが、豊和さんは「人命尊重」の観点から避難についても、トータルで考え取り組まれていたのですね。

左:[ドアコン:引戸式遮煙防火設備・自動閉鎖装置]
右:(引き寄せ機構[特許]による遮煙方法の説明を受ける)

対談は、コロナ後の豊和さんの取り組みへ…人にやさしく、快適な住空間を提供したい

笠井―スポーツ施設にまだ建築基準法上排煙装置が義務づけられていた頃・昔の話ですが私は四国の某市民体育館に排煙窓を自然換気にも利用できる設計をしました。
1年目の経年検査で窓が開けっ放しになっていて雨が入ったと怒られましたが…(笑)
今は、雨対策などの管理面も含め、自然排煙装置を上手に活用した自然換気など、エコへの取り組みが進歩していると思いますが、ご紹介頂けますか?

安藤社長―3.11東日本大震災以降の節電意識の高まりにより、極力電気を使わずに建物内を空調できる自然換気製品のご要望を多くいただきました。
自然の恵みを最大限に利用し、電気エネルギー消費を最小限に抑える換気製品として、「エコロベェ」や「エコバランス」を開発いたしました。 また、「人にやさしく」の理念は、既存製品の改良にも活かしております。
文教関係の方々からは、壊れにくい自然換気装置のご要望が寄せられ、今後換気・排煙オペレーター操作ボックスのスタンダードとなるであろう、「過廻し防止機構」を内蔵した「マドコン 安全くるくるシリーズ」を開発いたしました。
「マドコン 安全くるくるシリーズ」は、「ドアコン」「エコバランス」とともに、(一社)文教施設協会の学校施設優良部品推奨事業に登録されております。

左:[エコロベェ:定風量自然換気装置]
右:(エコロベェの特長について説明を受ける)

左:[安全くるくる 過廻し防止機構付き高窓開閉操作ハンドルボックス]
右:[エコバランス 逆流防止自然換気装置]

笠井―ユニバーサルデザインで「ハイブリッド ドア」を一度設計に組み込みました。 竣工検査で速度調整とストップが上手く作動しなかった苦い経験が有ります。(笑)
ユニバーサルデザインの先駆けの様な製品だと私は思うのですがその後改良されましたか?

安藤社長―発売当初で設定を間違えていたようでした。(笑)ご迷惑をお掛けしました。
普段何気ないドアの開閉は、高齢者やお体の不自由な方にとっては、勝手に閉まってくるドアが脅威になることがあります。
「人にやさしいドアとは何か?安心して過ごすことができる住環境のため何ができるか?」
これらの疑問を弱者の立場にたって考え、住環境に優しい製品として「ハイブリッド ドア」を開発しました。

2012年12月に発生した笹子トンネルの天井板落下事故では、9名の命が失われました。
「アンカーさえ抜けていなければ…」と思いから、ケミカルを使わずに確実な性能と耐久性を実現した、今までにない高性能なアンカーとして「AAP膨張アンカー」を開発しました。

また、建築とは離れますが、健康にお悩みの方々を救いたい一心から、35年間の研究を経て「定電流治療器AAP」を開発し、医療機器の認証を受けました。

左:[ハイブリッドドアー 自家発電機構内蔵 ストップセンサー制御]
右:(ハイブリッドドアーの仕組みの説明を受ける)

笠井―「困っている人は見過ごせない」精神で、たくさんの発明をされましたなぁ(笑)
新社長にお話をお伺いしましたが、話が尽きません(笑)

「人を安全に 人にやさしく」創業者が抱いた熱い想いを継承し社会に貢献し続ける姿は、我々建築家が果たす使命でもあり共感しました。
今後も「アイデアの豊和」が更なる新製品を開発され、益々社会に貢献する企業として、ご活躍されることを期待します。今日はありがとうございました。

編集後記

株式会社豊和の安藤社長、JIA登録建築家 笠井隆司さん、今回はご協力ありがとうございました。印象に残ったのは、「災害で命を落とされる方々をなくしたい、危険な環境を安全・安心な環境にしたい、何とかしてあげたい」「困っている人は見過ごせない」という製品開発への想いでした。そこから生まれた製品は、まさに、人の命を救うことにつながっていると思いました。

このようにカタリストでは、枠をきめずに、正会員と協力会員の交流や、製品・サービス開発への思いにスポットを当てていきたいと思いますので、皆さんの投稿をお待ちしております。
投稿してくださる方(正会員、協力会員問わず)は、お知り合いの広報委員、もしくはカタリスト担当の延原(メールアドレス nobuhara@fujiwara-l.com)まで、ご連絡ください。それでは、次回をお楽しみ。

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