JIA建築家国際交流基金 閉じる


JIA建築家国際交流基金について

中田亨専務理事
JIA news 2001年12月号より

Q:基金設立の経緯について伺えますか?
——1991年5月の通常総会の決定に基づき、丹下健三元会長を委員長とする建築家国際交流基金募金委員会が設立されて、JIAの会員を対象に募金が開始されました。
JIAがそれまでに積み立てた約5000万円(これには、丹下元会長がUIA学生賞の賞金の原資としてJIAに託されたものも含みます)に加えて、JIA会員有志および会員事務所から、まずは2億5000万円を募り、その後広く一般から2億円を募ることで、5億円の基金をつくることを目指しました。その後の経済状況により、一般からの募金はまだ行われていませんが、JIA、JIA会員、JIA会員事務所からの募金により現在約2億7000万円の基金となっています。

Q:設立の目的は何だったのでしょうか。
——1990年には調査委員会(椎名政夫委員長)が設けられて、建築家資格制度について海外の実情調査が始まり、91年度には欧米に調査団を派遣しました。このときから海外の情勢の変化が次第に明らかになってくるとともに、一方では、わが国建築設計市場の開放が求められるようになり、GATTで、建築設計コンサルタント業務の自由化が協議され、EC(当時)では、1992年の統合に向けて建築家資格の統一が進んでいました。
JIAは、国際建築家連合(UIA)に加えて、1991年にはARCASIA(アジア建築家評議会)に加盟し、このような情勢をよく知ると共に、経済先進国としてのわが国の責任を痛感していました。
JIAは、世界に通用する建築家の制度と立場の確立を目指していましたので、このような問題を解決するためには建築家同士の国際交流が欠かせないと言う結論に至ったのです。
・海外の建築家などの招聘・交流
・わが国建築家などの海外への派遣
・建築家に関する国際的な情報の収集
・国際的な建築家教育・研修などの実施
・建築に関する国際会議、展示会などの開催
・その他本会が建築文化の振興に必要と認める国際交流に関わる事業
以上の活動を想定しましたが、このような活動には恒常的な努力の積み重ねが必要であり、そのためには本来の運営や会員へのサービスに当てるべき会費収入とは別に、安定した資金が不可欠です。
これが動機と目的です。また、透明性と公正さを確保するために、将来JIAと切り放して財団法人にすることも考えていました。

Q:2億7000万円の基金はどの様に運用されているのでしょうか。
——JIA国際交流基金規定には「交流基金はその果実をもって運営し、」とあり、主に基金の運用利息を活動費にあてています。
昨今の経済情勢から、運用利息は大変少なくなっておりますが、一つにはドルやユーロの外貨で使用することが多いのと、為替リスクを避ける意味から資金をほぼ約三等分し、円、米ドル、ユーロで、外国債や定期預金などで確実な運用を行なっています。

Q:これまで、どのような成果が上がっているのでしょうか。
——第1に、UIAやARCASIAの学生コンペに対する賞金があげられます。これはUIA、ARCASIA両団体において定着しており、加盟各国から大変感謝を受けています。
さらに、スポーツ・アンド・レジャーWGやアーキテクツ・オブ・フューチャー (AOF) WGなどUIA関連の国際会議をわが国内で開催しており、また、1997年に東京で開催したアルカシア・フォーラムの助成や1999年2月に名古屋で開催したUIA理事会、さらには、2005年、2008年のUIA大会誘致活動などにその助成が行われています。このように国際交流の具体的成果はあがっていると思われます。
なお、最近は多くの支部が独自に国際交流活動を行なうようになり、わずかですがそれらを助成することにより、会員の皆様にも交流の実感を得ていただいているのではないかと思います。
その他、多くの国際会議にJIA代表を派遣することにより、国際的な情報収集力は他団体に比べ格段に強くなっています。
一方で、当初期待していたほどの利息が得られないことから、海外の若手建築家の招聘、研修などは思うように行っていないのが実情です。

Q:今後の課題は何でしょうか。
——2002年4月から、銀行の定期預金に対するペイオフが解除されます。確実な運用先として、当然のように銀行の定期預金を利用してきましたが、世の中の変化により、今後はリスクをどのように扱うか、大変重大な責任が生じていると考えています。この基金を管理しているのは、「JIA国際交流基金運営委員会」ですが、設立当初より委員を務めていただいていた近畿支部の岡本行善元理事が亡くなられ、新委員を選任する必要があります。これまでは設立当初から林昌二委員長はじめ継続して委員をお願いしてきたのですが、これからはぜひ若い会員にも積極的に運営に関わっていただきたいと、思っています。委員会の皆さんも同様のご意見です。
また、このような経済情勢のために、実施できていませんが、機会を見て、広く一般の方々に対し募金を募る必要があると思います。それにより基金の規模を大きくするだけでなく、一般の方々からの拠金により、その意義や活動が広く浸透するという、プラスの効果も期待できます。

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